ストリートファイターブログ『レッドサイクロン』

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女なんだと言えないこんな世の中じゃ

 
女なんだと言えないこんな世の中じゃ

死と暴力が支配する街メトロシティ。そこに巣食う犯罪集団がマッドギア。スキンヘッドに巨漢に巨人。一癖もふた癖もある男たちが集まる悪の組織だが、そこに華を添える紅一点…いや紅二点。それがロキシー&ポイズンだ。

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紫がポイズン、オレンジ色の髪がロキシーだ。

「きれいな女性だなあ」なんてウットリした君! 彼女らが“ワケアリ”なのをご存知だろうか。 彼女たちの初登場作品『ファイナルファイト』が世に出たのは1989年。 『ストクロ』や『ウルIV』でポイズンを知った若い格ゲーファンがその“ワケ”を知らなくても無理はない。 実は彼女たち…男性(ニューハーフ)なのである!

『ファイナルファイト』はメトロシティを舞台に、犯罪組織マッドギアと激しい戦いを繰り広げるバイオレンスアクション。 殴る蹴るはあたりまえ、ナイフで刺す、鉄パイプで殴る、火炎瓶を投げつけるなど、過激な攻撃もアリだ。そんな中、マッドギアの女性メンバー、ロキシーとポイズンに対し海外の婦人団体からクレームが入った。

「女性に暴力を振るうとはなにごとだ!」

これに対しプランナーの西谷亮氏はカプコンUSAを通じ、

「ふたりは女性ではありません!」

と回答、訴訟を回避したのである。 一休さんもビックリのとんち回答、なんという逃げ道だろうか!!


オカマ05
新声社『ギャルズアイランド5』 君と悩むギャルギャルQ&Aより。
「~のはず」という曖昧な表現があるが、これはカプコン公式回答ではないからだ。
(回答者は新声社の編集者と思われる丁稚の助氏)


と、いうわけで、当初女性としてデザインされたロキシー&ポイズンだが、 婦人団体のクレームを受け、男性(ニューハーフ)という設定がなされた。最初は女性だったにもかかわらず、世の中がそう言わせてくれなかったのである

大げさに書いたが、ここまではファイナルファイトをリアルタイムで遊んだ世代にはよく知られている話。上の記事にもあるように、ポイズン(以下ロキシーも含めポイズンと表記)の男性設定は主に海外向けのもので、日本国内においてはそこまでする必要のなかったのである。ポイズンをデザインした安田朗氏も『ストリートファイター×鉄拳』アートワークスにおいて、
「アメリカではニューハーフ、日本では女性」という見解でいたことが語られている。また西谷氏もツイッターにおいて「公には大人の事情があるが、作者としては女性」と発言している。そう、日本においてのポイズンは、女性のままでもかまわなかったのだ。しかし実際はどうだったのだろう。

日本におけるニューハーフ設定

一見美しい女性が、実はニューハーフ。この大きなギャップとそれに至った面白エピソードが受け、日本国内でのポイズン=ニューハーフ設定は広く知れ渡った。雑誌や攻略本の類、移植作品の取り扱い説明書、関連作品などなど、いたるところにそれは書かれている。

■SFC版『ファイナルファイト』取扱説明書オカマ01
スーパーファミコン版の取扱説明書。
ハッキリとニューハーフの表記がある。


■徳間コミュニケーションズ『ファイナルファイト』スーパーヒントブック
オカマ02
攻略本のロキシー&ポイズン紹介ページ。
男と書いて読み方は“オカマ”。


■PS2/PSP『カプコンクラシックスコレクション』設定画オカマ06
ゲームを進めていくと開放されるオマケの設定原画。
やはりニューハーフと記されている。


■T2出版『ファイナルファイトタフ』攻略ガイドブック 巻末漫画オカマ07
市長がメイに対しての「ニューハーフだな!?」とのセリフ。
“またも”“毎度毎度”というのは、FF(ロキシー&ポイズン)とFF2(エリザ&マリー)を指している。
ちなみにこのコマに描かれているメイは「れっきとした女」だ。


■ALL ABOUTストリートファイターキャラクター辞典オカマ08
PS2『ハイパーストII』付録の冊子。
【人物・♂】とされ、そのいきさつも書かれている。


■徳間書店『マイティファイナルファイト』完全攻略本
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敵キャラクター“ポイズンキッス”の紹介文。
ニューハーフのふたりの兄というのはロキシー&ポイズンのことにほかならない。


■中平正彦『RYU FINAL』天の巻
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ポイズンとオロが対面するシーン。
「男が女子(おなご)のナリをするのが流行しちょるんかの―?」の問いに、
ポイズン自ら「なぜ一発で見破れる!?」の答え。


■AC『カプコンファイティングオールスターズ』(開発中止)
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2002年AMショーでのカプコンブース配布のパンフ。
女性キャラは青色、男性キャラは赤で書かれている名前の欄が、ポイズンは赤でも青でもなく、中間色の紫になっている。


■SNKvs.CAPCOM カードファイターズDS』
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「ドコにナニを入れてどうすればああなるのか謎」
上は詰め物として、下はどうなっているのだろう?


このように、「国内では女性でもよかった」という製作陣の当初の思惑もよそに、ポイズン=ニューハーフ設定はすっかり定着したのであった。そしてここからが面白いところである。逆にポイズン=ニューハーフとしなければいけなかった海外はどうなったのだろうか。なんと「ファイナルファイト登場から数年もの長い間、ほぼ知られずにいた」ようなのだ!そんなバカな!もともと海外向けの設定だぞ?それが海外で広まっていなかったって!?

西谷氏のツイッターによると、迅速なクレーム対応のためか、この件は訴訟に至っていない。ポイズンの一件は裁判になったわけでもなく、大きなニュースにならなかったようだ。また、ゲームセンターの少ない海外において、ゲームの大きな市場は家庭用であるが、その家庭用移植版『ファイナルファイト』では、そもそもポイズンは登場しない。ビリーとシドというサングラスの男に置き換えられているのだ。インターネットも普及していない当時、日本の情報が伝わりにくかったというのもある。 多くの海外ユーザーは、男女問題どころか、ポイズンすら知る人は少なかったのである。

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すべての敵が男性に描き換えられた家庭用。
海外ではポイズンとロキシーの存在すら知る人は少なかった。


海外と日本の逆転現象

「海外では長らくポイズン=ニューハーフの認識がなかった」という仮説を裏付けるような事例を紹介しよう。

■『ファイナルファイトリベンジ』のポイズン
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ポイズンのセクシーショットや、男性と恋仲になるかのような展開が見られる。

1999年、カプコンUSA製作のファイナルファイトの続編となる格闘ゲーム。必殺技の演出や日本向け家庭用移植の際に追加されたエンディングなど、ポイズンがまるで本物の女性のように描かれている。開発元が海外であるが、ポイズンがニューハーフであることを知らなかった節がある。

■カプコン小野義徳氏へのインタビュー
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『ストリートファイターIV』発表初期の海外インタビューで、当時プロデューサーの小野義徳氏はインタビュアーから「ポイズンは男か?女か?」という質問を受けている。ストIV発表当時の2007年、日本ならポイズン=ニューハーフが定着しているのだが、このような質問がゲーム記者から出ること自体、海外で知られていないことの表れと言えよう。そしてこのとき小野氏は「男です」と回答、記者らはガックリと肩を落とした。
※この動画は現在消去されている。
コピーやバックアップをお持ちの方はお知らせください。


■当サイトへの問い合わせ
オカマ19

当ブログの前身であるウェブサイトで2003年~2004年頃、ポイズンについて紹介した際、海外のストリートファイターファンから「ポイズンが男って本当か!?妹がいるって本当か!?」という問い合わせを数件いただいた。どうやら向こうのファンは、ストIIIでポイズンの姿を見ても男とはわからなかった(姿だけしか見なければ当然である)ようだ。あとでわかったことだが、なぜ私のところに海外からの問い合わせがあったかというと、某大手のファイナルファイト記事に当サイトのリンクが貼られたためらしい。

このように海外では、ポイズン=ニューハーフの情報がFF稼動の1989年から2000年初期まで実に10年以上もの長い間、浸透せずにいたのである。もともと海外向けの設定にもかかわらず、日本で定着し、海外に伝わっていなかったのはなんとも皮肉である。

海外ファンの夢をこわさないために…

ようやく情報が追いついてきた海外であるが、海外ファンはポイズンをを男と認めない、いや認めたくないらしい。これまでストZEROの背景やストIIIの姿を見て、カッコいい女性像を作り上げてきた。日本のように初めからニューハーフとして登場してきたのならまだしも、今まで女性と思ってきたポイズンを、今さら男と言われても受け入れられないのであろう。近年ポイズンの性別がまた議論されているといわれるが、問題にしているのは、ほぼ海外発信の記事である。日本では上記のように完全にニューハーフ設定が定着し、いまさら蒸し返すことはしないからだ。

この状況を受け、カプコンは2010年ごろから、海外ファンへの配慮をはじめたとみられる。

■2011年 東京ゲームショウ 小野義徳氏へのインタビュー
オカマ18
海外記者がまたも小野氏に「ポイズンは男性か女性か」と過去と同じ質問を投げかけた。しかし今回小野氏はノーコメントを貫き、明言を避けた。「これはミステリーでいい。みなさんが議論するのは大歓迎」だという。この発言がきっかけとなったか、以降ポイズンの性別はぼかされることになる。

■2012年 『ストリートファイター×鉄拳』 公式HP
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当初「一見女性のように見えるが実は……?」との一文があったが、すぐに修正が入った。その書き方では男性なのがあからさまであるためか、「一見変わった女性」とぼかされた。クロ曰く「この色気!たまらないみャ!もう細かいことはどうでもいいみャ!」

■2012年 『鬼武者soul』
オカマ21
 
性別は記載されていない。以前のように「男」や「ニューハーフ」と書かれることはなくなった。

■2013年『ストリートファイター×オールカプコン』
オカマ17
 
“女性”の表記にドキリとするが、性別(sex)ではなく、タイプ(type)なのが引っかかる。タイプ(type)は日本語でいう“型”や“形”のことであり、主に外見的な分類に用いる。歌舞伎の“女形”や、宝塚の“男役”のような表現なのかもしれない。

■2014年 『ウルトラストリートファイターIV』公式サイト
オカマ22
 
「見た目は美しいが~その本性は謎」とされ、過去これでもかとアピールしてきたニューハーフには触れない。ストーリーでもそこには触れず、世の中に自身とヒューゴーをアピールすることが目的となっている。

■2014年 『カプコンちょこっと公認 ハギとこ ハギーのとことんやってみよう!』
3月17日放送(#31)
オカマ16
 
杉山プロデューサーと綾野アシスタントプロデューサーも登場しての、ディカープリお披露目番組。出そろったキャラクターが男性青色、女性赤色で紹介されたが、ポイズンはどちらでもないピンク色であった。

愛されるキャラクター・ポイズン

つまりポイズンは、婦人団体のクレームの対応を受け男性としたが、海外には浸透していなかったため、現在では性別には触れず、どちらとも取れるような扱いになっている、ということだ。

それにしても、悪の組織の敵キャラクターでありながら、男性からの暴力を心配されるなんて。女性であってほしいと願うのファンため、カプコンが性別をあやふやにしてくれるなんて。ファンにもカプコンにも愛されているキャラクターであるといえよう。

オカマ23
ついには、『ウルトラストリートファイターIV』への参戦も果たした!
アクションゲームのザコ敵からの大躍進だ!!






いっぽう、『ストII』でゴツイ男性陣に囲まれていた紅一点の春麗は…。

 
春麗ボコボコ02
どんなに蹴られようとも…


 
春麗ボコボコ03
どんなに殴られようとも…


 
春麗ボコボコ01
どんなにゲロ吐かされようとも、同情なんかされなかったよ! 
 
 
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プロフィール

りょう

Author:りょう
ストリートファイターの投げキャラ好きでパッド派。
ザンギエフやサンダー・ホークで十字キーをぐるぐる回します。



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