Posted at 2016.04.03 Category : コラム
┃ゴルバチョ…?
ザンギエフが心と肉体を捧げる祖国ロシア。そのロシアの偉大なる指導者をご存じだろうか。そう、ストIIでザンギエフのエンディングに登場する、頭のあざが特徴的な“あの人”だ。

あざがチャームポイントのワタシです。
彼はロシアの偉大なる指導者であり、『ストII』で“レスリングによる国際交流”を成功させた人物だ。この計画をザンギエフに依頼するシーンは『ストZERO2』のエンディングで見ることができる。また『ストZERO3』ではロシアに害をなすシャドルーのサイコドライブの破壊を命じている。ザンギエフを語るにあたり、欠かすことのできない人物である。モデルになったのは、ミハイル・ゴルバチョフ氏とみて間違いない。日本でも絶大な人気を誇り「ゴルビー」の愛称で親しまれた人物である。

そっくりでしょ?
┃移り変わる肩書き
そんな彼であるが、その肩書きは細かく変わっているのをご存じだろうか。政治家というものは肩書きがよく変わるものだが、彼もまたそうなのだ。
【ストII (アーケード版)】

「だいとうりょう なかなかやりますな。」
1991年のストIIアーケード版。ご存じザンギエフのエンディング。国際交流に成果を上げたザンギエフを称え、いっしょにコサックダンスを踊る。ザンギエフが「だいとうりょう」と声をかける。彼はこのとき、ソビエト連邦の“大統領”だったのである。
【ストII (スーパーファミコン版)】

「もとだいとうりょう、なかなかやりますな。」
1991年、ソ連はクーデターにより崩壊する。彼のモデルであるゴルバチョフは同年12月25日をもって大統領を辞任しているのだ。スーパーファミコン版が発売されたのは翌1992年。前年の史実を受け、彼の肩書きは“元大統領”とされているのだ。カプコンてば芸が細かい!
ちなみに実際の映像はひょこひょこ上下に動くのだが、コサックダンスをしているんだぞ、念のため!
【ストZERO2】

偉大な指導者/偉い人
ストZERO2での彼は、ザンギエフのためにトレーニングハウスと最高のウォッカを用意してくれた。このときは大統領ではなく“偉大なる指導者”と表記されている。また新声社『ALL ABOUT ストリートファイターZERO2』では“偉い人”とも呼ばれている。なぜ大統領ではないかというと、ストZERO2の舞台はストIIより数年前なのである。(参照こちら) モデルであるゴルバチョフがまだ大統領ではないので、史実に基づきその呼び名は使用していないのである。カプコンてば芸が細かい!
┃気になる名前
さて、大統領とか偉い人とか呼ばれている彼であるが、名前はないのだろうか。ゲーム内では一切出てこないし、顔がゴルバチョフそのものなので、ゴルビー本人だと思っている人もいるようだ。実際ネット上では「ストIIのエンディングにゴルバチョフが出るよ」などと紹介している記事もある。いやでも待ってほしい。彼はゴルバチョフ本人ではない。しっかりと自分の名前を持ったゴルビーとは別人のキャラクターなのだ!1993年のカプコンファンクラブ会報誌『クラブ★カプコン』創刊号を開いていただこう。そこでザンギエフが自伝を出版する際、彼が推薦文を書いていることを知ることができる。

ザンギエフ著『闘いのペレストロイカ』!
「さすが同志ザンギエフ君だ」と推薦する彼の名は、元大統領…ゴロバチョフ!!!
そう、彼の名はゴルバチョフではなく、ゴロバチョフだったのである。この事実はファンクラブ会員のほかは知る機会に恵まれず、またその後もゲーム内で語られることもなかったので、知る人ぞ知る設定であった。「ストIIにさ、ゴルバチョフ出るよね」なんていう友人がいたら、「彼はゴロバチョフさ」としたり顔で返したものである。
しかしそんなマニアックなネタが掘り起こされるときが来るのである!12年後の2005年『カプコンファイティングJam』のガイドブックがそれだ。

干支もひとまわりした12年後である。
まさかその名を目にする機会が再び巡って来ようとは!
「偉大なる指導者ゴロバチョフ」とある。もう誰もが忘れていたと思っていたその名が表舞台に出てきたのだ。カプコンのライターさんに彼の名前を覚えていた人がいたなんて。相当の設定マニアと見た。正直ビックリである。一応、当ブログの前身であるウェブサイト『レッドサイクロン』ではずっと紹介しているネタではあった。まさかそこを読んでいたとか…?まさかね…?
┃ザンギエフとの意外な関係
ストZERO2でザンギエフに重大な任務(レスリングによる国際交流)を依頼したゴロバチョフであるが、彼らの関係はそのとき始まったものではないのだ。実は彼らの関係はもっと前にさかのぼる。実はふたりは大学レスリング部の先輩後輩の仲なのだ。ZERO2でのシーンは初対面ではなかったのだ。

小学館『ストリートファイターメモリアル公式ファンブック』より。
また先ほどの『カプJam』ガイドブックにも記されている。
ゴロバチョフがモデルであるゴルバチョフと同じ年齢だとすると、ザンギエフとは少々年齢が離れている。同時期に大学に在籍していたとは考えにくい。おそらくゴロバチョフは大学卒業後も出身のレスリング部の後輩の面倒をよく見ていたのだろう。ザンギエフとの出会いはこの時だったのだ。ふたりの意外なつながりである。
しかし一番意外なことは、一見脳みそまで筋肉のようなザンギエフが大学を出ていて、しかもモデルのゴルバチョフと同じだとすれば名門モスクワ大学卒の超インテリだったということである。
ザンギエフが心と肉体を捧げる祖国ロシア。そのロシアの偉大なる指導者をご存じだろうか。そう、ストIIでザンギエフのエンディングに登場する、頭のあざが特徴的な“あの人”だ。

あざがチャームポイントのワタシです。
彼はロシアの偉大なる指導者であり、『ストII』で“レスリングによる国際交流”を成功させた人物だ。この計画をザンギエフに依頼するシーンは『ストZERO2』のエンディングで見ることができる。また『ストZERO3』ではロシアに害をなすシャドルーのサイコドライブの破壊を命じている。ザンギエフを語るにあたり、欠かすことのできない人物である。モデルになったのは、ミハイル・ゴルバチョフ氏とみて間違いない。日本でも絶大な人気を誇り「ゴルビー」の愛称で親しまれた人物である。

そっくりでしょ?
┃移り変わる肩書き
そんな彼であるが、その肩書きは細かく変わっているのをご存じだろうか。政治家というものは肩書きがよく変わるものだが、彼もまたそうなのだ。
【ストII (アーケード版)】

「だいとうりょう なかなかやりますな。」
1991年のストIIアーケード版。ご存じザンギエフのエンディング。国際交流に成果を上げたザンギエフを称え、いっしょにコサックダンスを踊る。ザンギエフが「だいとうりょう」と声をかける。彼はこのとき、ソビエト連邦の“大統領”だったのである。
【ストII (スーパーファミコン版)】

「もとだいとうりょう、なかなかやりますな。」
1991年、ソ連はクーデターにより崩壊する。彼のモデルであるゴルバチョフは同年12月25日をもって大統領を辞任しているのだ。スーパーファミコン版が発売されたのは翌1992年。前年の史実を受け、彼の肩書きは“元大統領”とされているのだ。カプコンてば芸が細かい!
ちなみに実際の映像はひょこひょこ上下に動くのだが、コサックダンスをしているんだぞ、念のため!
【ストZERO2】

偉大な指導者/偉い人
ストZERO2での彼は、ザンギエフのためにトレーニングハウスと最高のウォッカを用意してくれた。このときは大統領ではなく“偉大なる指導者”と表記されている。また新声社『ALL ABOUT ストリートファイターZERO2』では“偉い人”とも呼ばれている。なぜ大統領ではないかというと、ストZERO2の舞台はストIIより数年前なのである。(参照こちら) モデルであるゴルバチョフがまだ大統領ではないので、史実に基づきその呼び名は使用していないのである。カプコンてば芸が細かい!
┃気になる名前
さて、大統領とか偉い人とか呼ばれている彼であるが、名前はないのだろうか。ゲーム内では一切出てこないし、顔がゴルバチョフそのものなので、ゴルビー本人だと思っている人もいるようだ。実際ネット上では「ストIIのエンディングにゴルバチョフが出るよ」などと紹介している記事もある。いやでも待ってほしい。彼はゴルバチョフ本人ではない。しっかりと自分の名前を持ったゴルビーとは別人のキャラクターなのだ!1993年のカプコンファンクラブ会報誌『クラブ★カプコン』創刊号を開いていただこう。そこでザンギエフが自伝を出版する際、彼が推薦文を書いていることを知ることができる。

ザンギエフ著『闘いのペレストロイカ』!
「さすが同志ザンギエフ君だ」と推薦する彼の名は、元大統領…ゴロバチョフ!!!
そう、彼の名はゴルバチョフではなく、ゴロバチョフだったのである。この事実はファンクラブ会員のほかは知る機会に恵まれず、またその後もゲーム内で語られることもなかったので、知る人ぞ知る設定であった。「ストIIにさ、ゴルバチョフ出るよね」なんていう友人がいたら、「彼はゴロバチョフさ」としたり顔で返したものである。
しかしそんなマニアックなネタが掘り起こされるときが来るのである!12年後の2005年『カプコンファイティングJam』のガイドブックがそれだ。

干支もひとまわりした12年後である。
まさかその名を目にする機会が再び巡って来ようとは!
「偉大なる指導者ゴロバチョフ」とある。もう誰もが忘れていたと思っていたその名が表舞台に出てきたのだ。カプコンのライターさんに彼の名前を覚えていた人がいたなんて。相当の設定マニアと見た。正直ビックリである。一応、当ブログの前身であるウェブサイト『レッドサイクロン』ではずっと紹介しているネタではあった。まさかそこを読んでいたとか…?まさかね…?
┃ザンギエフとの意外な関係
ストZERO2でザンギエフに重大な任務(レスリングによる国際交流)を依頼したゴロバチョフであるが、彼らの関係はそのとき始まったものではないのだ。実は彼らの関係はもっと前にさかのぼる。実はふたりは大学レスリング部の先輩後輩の仲なのだ。ZERO2でのシーンは初対面ではなかったのだ。

小学館『ストリートファイターメモリアル公式ファンブック』より。
また先ほどの『カプJam』ガイドブックにも記されている。
ゴロバチョフがモデルであるゴルバチョフと同じ年齢だとすると、ザンギエフとは少々年齢が離れている。同時期に大学に在籍していたとは考えにくい。おそらくゴロバチョフは大学卒業後も出身のレスリング部の後輩の面倒をよく見ていたのだろう。ザンギエフとの出会いはこの時だったのだ。ふたりの意外なつながりである。
しかし一番意外なことは、一見脳みそまで筋肉のようなザンギエフが大学を出ていて、しかもモデルのゴルバチョフと同じだとすれば名門モスクワ大学卒の超インテリだったということである。
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