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ストリートファイターブログ『レッドサイクロン』

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波動の技と殺意の波動、その歴史

 
波動拳、昇龍拳、竜巻旋風脚。

これらはリュウとケンを代表する必殺技だ。さらに同門であった豪鬼の使用する技でもある。※豪鬼の技の名称は異なる。

三種の神器
対空、飛び道具、突進技。
俗にいう“三種の神器”である。


初代『ストリートファイター』では、これらはリュウとケンの学んだ格闘術の必殺技というものでしかなかったが、続編の『ストリートファイターII』では、もともと暗殺拳だったが彼らの師匠・剛拳が格闘術として昇華させたものという設定が加えられた。

格闘技として昇華しようか
暗殺拳を格闘技へと変えた剛拳。

これにはかなり衝撃を受けた。一般的なゲームの主人公は正義の力で悪を倒すのだが、リュウとケンの技はもともと人を殺めるのが目的のかなり物騒な拳だったのだ。書籍『ALL ABOUT ストリートファイター』では「波動拳・昇龍拳・竜巻旋風脚には殺意の波動が宿る暗殺拳だった」とされる。そこから殺意の波動を浄化したものが、現在の彼らの技である。

しかし格闘術として伝えられた現在でも、昇龍拳や波動拳を使用することによって、殺意の波動が呼び覚まされることがある。ストZEROシリーズのリュウは、内に潜む殺意の波動と向き合うことが物語の中心となり、IFキャラクターとして「殺意の波動に目覚めたリュウ」も登場した。

殺意リュウ爆誕
通常のリュウとは別のストーリーが展開する。

殺意の波動に目覚めてしまったリュウは大きな力を得るものの、自我を失いかけ、殺意衝動に任せて行動するようになる。しかし同じく殺意の波動をまとう豪鬼は自我を保ったままであり、三種の技が「殺意の波動が宿る暗殺拳だった」という設定から考えても、かつての使用者は殺意の波動をまとったまま行動で来ていたと考えられる。

また、ストII(スパIIX)では剛拳の先代として轟鉄の存在も明らかになった。昇龍拳などの技を暗殺拳として用いていた最後の使い手である。彼はストIIの20年前に豪鬼との闘いで命を落とし、すでに故人である。

暗殺拳の使い手轟鉄
豪鬼の回想の中で姿を見せる轟鉄。

このように、初代ストリートファイターで登場した3つの技には「殺意の波動」という物騒な由来が設定されたわけだが、公式ではこれ以上の掘り下げはなかった。しかし漫画やアニメ、映画といった他のメディアでは殺意の波動を独自に解釈したり、設定を追加したりしたものもある。ここでは中平正彦による漫画ストリートファイターZERO』、アニメ『ストリートファイターALPHAジェネレーション』、実写映画『ストリートファイター 暗殺拳』における、3つの必殺技のルーツに迫ってみたい。

■漫画『ストリートファイターZERO』
中平正彦氏によって描かれた漫画版『ストリートファイターZERO』。ゲームより先に「殺意の波動に目覚めたリュウ」が登場し話題となった。これはゲームの海外版『ストリートファイターZERO2』に逆輸入されることになる。作中では公式より深く殺意の波動について設定を掘り下げており、武神流忍者ガイの説明によると、殺意の波動は「微妙な平均を保ってきた人の世を気まぐれに乱す存在が生まれたとき、それを倒すため人の世が得た唯一の力」としている。

知っているのかガイ
波動の技のルーツをガイが語る。
なぜ部外者のガイがこんなに詳しいのか?


殺意の波動はその力をもって、世を乱す者を倒す力だという。暗殺拳という設定はそのままだが、物騒な人物を世の中から消す(暗殺する)ための物騒な力というポジティブな解釈だ。作中の挿絵によると、キリストやヒトラーの非業な死の裏にも波動の力があったらしい。

また同氏の別作品である『RYU FINAL』では、ケンが剛拳の元に弟子入りしたきっかけは、昇龍拳などの暗殺拳を記した古い文献であった。それには「その拳は天を引き裂き、その脚は森をなぎ払った。そして掌より放つ神秘の輝きは並みいる兵を焼き尽くした。」と記されている。

古い書物
「武」と書かれた古い文献。

文献は虫食いもあり、ボロボロで、ショーン曰く「博物館もの」である。そんなものがなぜケンの父親の書庫にあったのかは謎だが、殺意の波動をまとう3つの技は(本当にキリストの死に関わっていたとすれば)2000年前から存在したことになる。

負のイメージがつきまとうも殺意の波動を、世を正すための力と言い換えたこと、数千年も前から存在していたことなどが、今作品の特徴といえよう。

■アニメ『ストリートファイターALPHAジェネレーション』
2005年にアメリカで発売されたアニメーション。日本国内では実写映画『レジェンド・オブ・チュンリー』のDVDに収録されている。剛拳と豪鬼の兄弟の修行時代から、現代でのリュウと豪鬼の宿命の対決が描かれる。原作では剛拳と豪鬼の師匠は殺人拳を使う細身で長身の轟鉄であるが、小柄な老人にデザイン変更されている。轟鉄にあたる人物で間違いないが、名前は明かされていない。

足短いけど竜巻旋風脚
小柄だがキレのある竜巻旋風脚を放つ。

原作と違う点として、すでに波動の力を禁じ手としており、豪鬼が「前人の教えは絶対か」と問うところから、もう何代か前から彼らの技に殺人拳としての側面はなくなっている。しかし豪鬼が殺意の波動を身につけてしまったことで、殺人拳は復活してしまった。

この作品では、殺意の波動は「ある血筋に備わった、この世の生きとし生けるものを滅しさる力」とされてる。はるか昔、生まれながらに恐るべき格闘術を身につけていた者たちがいた。その多くは時の権力者たちに利用され、暗殺者となった。しかし殺しを重ねるうちに、内に潜む悪魔(殺意の波動)が目覚め、肉体はおろか、精神まで喰い尽くされてゆく。そのため、今では禁断の技となっているのだ。殺意の波動を身につけた豪鬼と、殺意の波動に目覚めかけたリュウとの死闘では、これまで殺された人々や、過去の殺意の波動の使い手と思われる者たちの怨霊が現れた。オカルト!

歴代の殺意の波動使用者さん2
殺意の波動の先輩たち。

歴代の殺意の波動使用者さん1
みな殺意の波動に飲み込まれ死んだのだろう。


殺意の波動が血統に依存すること、歴史の裏での暗躍してきたこと、そしてその技は封印されて長いことなどがこの作品の特徴か。血統に依存するということから判るとおり、この作品ではリュウの父親は豪鬼であることが示唆されている。

■実写映画『ストリートファイター 暗殺拳』
ストリートファイターのファンであった俳優ジョーイ・アンサーが、カプコンUASの承認を受けたうえで制作した2014年の実写映画。修行に励むュウとケンが、剛拳から波動の力を伝授される物語。この作品では剛拳の使う波動拳や昇龍拳、竜巻旋風脚の技は、原作の「格闘技として昇華されたもの」ではなく、タイトルどおりの「暗殺拳」である。ゲーム版と違い、殺意の波動をまとわなくとも、それらの技には殺傷能力がある殺人のための拳なのである。

地獄の破壊力を解き放て
暗殺拳の使い手・轟鉄。

しかしこれら波動の技を使用するにあたり、「無の波動」という気の流れを習得しなければ、殺意の波動に飲まれてしまう。轟鉄の弟も殺意の波動により気が狂い、生死も定かでないという。劇中では、ケンが古い書物で殺意の波動に触れ、それに記された構えを取ることで殺意の波動が発現した。先のアニメとは違い、血筋に関係なく殺意の波動に飲まれる可能性がある。

殺意の波動を記す書物
殺意の波動を記す書物を見つけたケン。
その構えを取っただけで殺意の波動が沸き上がった。


3つの必殺技はあくまでも暗殺拳。古来の秘拳といわれるとおり、その歴史は古いようだ。無の波動を身につけないと誰しも殺意の波動に飲まれてしまうというのが、この作品での特徴だ。


以上が3作品における、昇龍拳、波動拳、竜巻旋風脚の3つの技と、殺意の波動についてである。それぞれ細かい設定に違いがあるが、どれも共通しているのが、これらの技が「はるか昔から存在していた暗殺拳」ということだろう。

このように様々なメディアで独自の設定を与えられたリュウらの暗殺拳だが、近年『ストリートファイターV』では、ついに公式が新たな設定を盛り込んできた。次はそれらについて考えたい。

ナムプンなん分にこにこぷん
沸き上がる殺意に怯えるサガット。

シーズン3で待望の参戦となったサガットのストーリーを見てみよう。サガットはシャドルーを抜け、タイの村に身を置いていた。静かな暮らしに戻ったと思われたが、自分自身と闘う幻影を見たり、激しい殺意に襲われたり、訪ねて来た少女が怪物に見えたりすることで苦しんでいた。これらはなんと殺意の波動によるものだった。これまでリュウの流派とその技にのみ宿る闇の部分だと思っていたが、誰しも殺意の波動に襲われる可能性があることがあきらかになった。

新設定1:昇龍拳などの暗殺拳にのみ、殺意の波動が宿るのではない。血統も関係なく、誰しもその恐れがある。

かつて剛拳は『ストZERO』のバックストーリーで、サガットに復讐心を燃やすダンを破門にしていたが、これは誰しも邪な気が殺意の波動への目覚めにつながると危険視していたからかもしれない。中平設定やアニメでは血が重要な要素であるが、ゲームでは関係ないようだ。

ダンも目覚める可能性
殺意の波動に目覚める様子は想像できない?

次にシーズン4で登場した驚きの新キャラクター、それが影ナル者である。過去『ハイパーストII』や『ストZERO』シリーズ、『ストIV』シリーズでは殺意の波動に目覚めたリュウが登場したが、いつまでも負の波動に負けてばかりではいられないと、ついにリュウは殺意の波動をその身から追い出した

めちゅ
殺意の波動、まさかの独り立ち。

公式サイトの説明によると「リュウから乖離した殺意の波動の化身。鬼神の如き強さを誇る。強者との死合いを求め、彷徨い歩く。」とある。これまで設定だけで目に見えない存在だったが、こうして姿が確認でき、そしてしゃべるのである。

新設定2:殺意の波動は人体から乖離し、その人物を模した姿で視認できる。また物理的に人間と闘うことも可能。

最後にその歴史について。公式でこれまでわかっていたことは、リュウの先代が剛拳であり、その前が轟鉄ということだけだ。ストIVのリュウの回想シーンでは、幼いころ轟鉄もいっしょに暮していたことが明らかになったが、今は故人ということもあり、これまで人物像が見えてこなかった。しかし、ストV時代になり、ついにシャド研のキャラ図鑑で轟鉄が紹介されたのだ。(キャラ図鑑:轟鉄 参照)

轟鉄総帥
剛拳、豪鬼の師である轟鉄総帥。

身長188cm、体重81kg。礼節を重んじ、常に怠ることなく修行に励んでいた。野菜づくりが趣味で棒など武器格闘にも精通している…。しかしそこには、そんなこと吹き飛んでしまうような、重大な情報が記されていた!

「元祖暗殺拳」
「波動拳、昇龍拳の生みの親」
「リュウやケンが使用する暗殺拳の基礎を作った」


なんだってーーー!!!

これまで他のメディアの影響で、3つの神器は歴史の古い暗殺拳で、殺意の波動もそれと長い因縁を持つ存在なのだろうと思っていた。しかしこの暗殺拳は轟鉄が編み出したものだった。昇龍拳の生みの親は彼だったのだ。弟子の豪鬼は殺意の波動に目覚めて彼を殺して去り、残った剛拳は技を伝授されていたが、それを危険視し暗殺拳ではなく、格闘術へとしてしまった。つまり………

新設定3:昇龍拳、波動拳、竜巻旋風脚という暗殺拳は轟鉄が編み出したもの。しかし暗殺拳としてはわずか一代限りで次代には伝わっていない。


轟鉄…あんた開祖だったのかよ。


歴史浅ーっ!


暗殺拳てば、歴史浅---っ!!!


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プロフィール

りょう

Author:りょう
ストリートファイターの投げキャラ好きでパッド派。
ザンギエフやサンダー・ホークで十字キーをぐるぐる回します。



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