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ストリートファイターブログ『レッドサイクロン』

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第5部 死闘 2.預言

 
第5部 死闘

2.預言

某国-雪降る街。高台から、眼下に広がる街並みを見つめるヘレン。すっかり陽は落ちているが、街の様子はしっかり見てとれる。なぜならあちこちから火の手が上がっているからだ。

ゼネスト5章02a

途切れることのない悲鳴。立ち昇る黒煙。街はパニックに陥っていた。ここも黒い月の落下予測地点に近いのだろう。しかし住民の避難は進んでいないようだ。あちこちに上がる炎は、パニックになった人々の事故によるものだろうか。交通機関の麻痺は、さらなる避難の遅れを生む。

ゼネスト5章02b

そんな状況で、ヘレンは静かに本を開いていた。とあるページを声に出して読み始める。


“百三十日の静寂の後、炎と水を等しく湛えた金髪の子が現れ、真に慈悲ある民の願いに耳を貸すだろう。”


ヘレンはそっと本を閉じ、それに落ちた雪を手で拭った。

「あと少し。あと少しなのに。」

本を抱きかかえ、絞り出すような声でつぶやく。

ゼネスト5章02c

ヘレンの背後に近づく影があった。

「これはユリアン様。」

ヘレンは平静を装いユリアンを迎え、深々と頭を下げた。

ゼネスト5章02d

「飼い犬に手を噛まれた無能がいるそうだな。」

ユリアンの言う「飼い犬」とはナッシュのことである。ヘレンはユリアンの手を借りナッシュを蘇生、秘密結社の邪魔となるベガを討つ駒にしようとしていた。しかしベガと一戦交えたナッシュは自分には無理だと言い、ヘレンの計画は頓挫しようとしていた。それを一番知られたくない人物に指摘されたのである。

「まだ、終わったわけではございません。」

ヘレンは諦めてはいなかった。強い意志を目に宿らせ、ユリアンを見つめ返す。

ゼネスト5章02e

「ふ、良い知らせを期待している。」

ユリアンはそれだけ言い残すと、ヘレンのもとを去っていった。

【Pickup!】ムラハの予言書

大事そうにヘレンが胸に抱く一冊の書物。彼女が口にした本の一説を思い返してみよう。

ゼネスト5章02f
「TESTAMENT」…遺言、遺書、聖書などの意味。
ここでは「予言書」であるようだ。


“百三十日の静寂の後、炎と水を等しく湛えた金髪の子が現れ、真に慈悲ある民の願いに耳を貸すだろう。”

これはギルの秘密結社に伝わると思われる予言書であるが、みなさん聞き覚えはないだろうか。といっても『ストV』ではなく『ストIII』である。ドリームキャスト版『ストIIIダブルインパクト』で使用できるギルのエンディングを見てみよう。これと同じ文章が流れるのだ。(アーケード版ではギルが使用不可なので、確認することはできない。)

ゼネスト5章02g
たしかに同じ文言だ!

ヘレンが読んだのは予言の一部分でるため、ストIIIギルのエンディング全文をここに掲載する。

“ソリートンの峰に欠けた太陽が沈むとき
黒い月は七つに砕け
衣まとわぬアルタニア人の頭上に降り注ぐ
高僧の祈りも
農民の知恵も
これを止めることはできない
普く広場は
猛禽と野獣の住処となり
抗いがたい苦痛に満ちる
百三十日の静寂の後
炎と水を等しく湛えた金髪の子が現われ
真に慈悲ある民の願いに耳を貸すだろう

~ムラハの預言書・第三章十一節より~”


注目すべきはこの部分だろう。

ゼネスト5章02h
予言の冒頭には…!!

降り注ぐ七つの黒い月!!

これはまさに今回シャドルーが世界を恐怖に陥れるために製造した、七つの黒い月である。シャドルーの計画はギルの秘密結社に予言されていたのである!

general013.jpg
ストIIIですでに登場していた「黒い月」。

この予言書には七つの黒い月が世界各地に落下し、甚大な被害を与え、人々を苦しめると記されいるようだ。さらにその130日後、炎と水を湛えた金髪の子が現れ、民を導くと読めるのではないか。この「炎と水を湛えた金髪」というのはギルとみて間違いないだろう。「子」という部分はそのまま子供というわけではなく、申し子(神仏に祈ったおかげで生まれた子、または霊的な力を持って生まれた子)という意味ではないだろうか。事実ギルは血統や遺伝子学、占星術などさまざまな要素を元に生まれた子であり、炎と水(氷)を操る能力を身につけている。

ゼネスト5章02i
右半身で炎を、左半身から冷気を操る。

つまりヘレンは黒い月事件を経て、総統ギルが民を統べるという予言を信じ、それに沿って行動していたのである。この預言書・第三章十一節ではベガを倒す者については記されていないが、別の章ではそれが書かれていたに違いない。詳細はわからないが、その人物がナッシュであると読み解いたヘレンは、彼を蘇生し、ベガを討つように仕向けたのだ。

GS1-1-002
ナッシュを救ったのも、すべてギルのためだった。

新声社『ストリートファイターIIIファンブック』のスタッフインタビューでは、「ギルの一味とシャドルーの関係は?」との問いに「ギルの組織は世界そのものと想像されます。シャドルーの活動も、ベガさえ気づかぬ大きな力によって利用されたり、コントロールされています」と回答されている。シャドルーが黒い月で世界に恐怖をもたらしたのも、ギルの組織にとっては、地球に理想社会を作り上げる過程の織り込み済みの出来事だったのかもしれない。

また、ストIIIでギルの組織が所有していたGファイル。ゲーム内では正体が明かされず謎めいたアイテムだが、同書ではその内容が明確にされている。

ゼネスト5章02j

Gファイルとは「世界リストラ計画の第一期中間報告書」であるらしい。世界中で起こった事件や出来事のまとめだが、それらはすべてギルの組織のコントロール下にあるものだという。リストラ計画というからには、それらの事件で姿を消す人物がいるのだろう。それはギルの組織が理想社会を築くにあたり、排除しなくてはならない人物に違いない。そして今回、黒い月事件の首謀者であるベガは、予言どおりリストラ対象と判断されたわけである。

そう。
サイコじゃないよ。解雇(リストラ)だよ。

ゼネスト5章02j
解雇喰らった―!

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プロフィール

りょう

Author:りょう
ストリートファイターの投げキャラ好きでパッド派。
ザンギエフやサンダー・ホークで十字キーをぐるぐる回します。



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