ストリートファイターブログ『レッドサイクロン』

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ウワサの真相

 
1987年の登場から長きに渡り愛されている『ストリートファイター』シリーズ。その歴史ゆえ、誤った認識で広まったものや、真偽が怪しいエピソードもある。今回のコラムでは、それらファンの間で語られるウワサについて検証したい。

ダルシムの首飾りは飢餓で死んだ子供のもの

インドの修行僧ダルシムに関するウワサ。彼の首飾りが「餓えで死んだ子供のガイコツ」と言われている。果たしてこれは本当だろうか。

ダルの首飾り1
3つ並んだガイコツがインパクト大。
はたしてこれは誰のもの?


これは聞いたことがある方も多いだろう。なにせフリー百科事典ウィキペディアにも真っ先に書かれている(2016年9月現在) ので、広く知られているのではないだろうか。しかしこの件について初登場の『ストII』やそれに付随する公式文書を調べてみても、いっこうに出どころにたどり着かない。月刊ゲーメスト増刊号『ストリートファイターII』において、単に“首飾り”という表記がある程度である。彼のガイコツはほんとうに子供のものなのだろうか。

ダルの首飾り
ウィキペディアにも記されてるダルシムのガイコツ。
果たして真相は…。


さらに考察本や二次創作にまで調査範囲を広げると、面白いものが見つかった。考察本である新声社『ストII波動拳の謎』にズバリ「ダルシムの首飾りのドクロは何?」というページがある。これによると「奥さんからのプレゼントか?」としつつも「おそらく救うことができなかったこどもたちのものであろう」と締めくくっている。これはあくまでも編集部の想像である。
また徳間書店『ファミリーコンピューターMagazine』に連載されていた神崎将臣『ストリートファイターII-RYU』を見てみよう。ダルシムはヨガを極めても餓えや貧困に苦しむ人々を救いきれないと言い、ストリートファイトで得た金を自国のために使っている。「この骨にかけて負けるわけにはいかない」とリュウに語るのだ。

ダル真相
「救えなかった人々の骨ってわけかい!!」
いや、怖ぇよ。勝手に持ってくんな!!


リュウは彼の首に下がっているのが、救えなかった人々の亡骸だと悟る。(同作では子供の-とは言っていない) この作品はカプコン公認だが内容はゲームと異なる設定も多く、作者による二次的なストーリーである部分が大きい。残念ながら公式設定とはいえないものだ。

結論:公式設定ではない。関連書籍の考察や二次設定のひとり歩き。

ザンギエフはモスクワ大学を主席で卒業

鍛え抜かれた鋼の肉体が自慢のザンギエフ。その見た目とは裏腹に、名門モスクワ大学を主席で卒業してる超エリートという話。これも聞いたことがある方は多いだろう。ディズニー映画『シュガーラッシュ』が地上波で放映されると、悪役とされる映画の内容をよしとしないファンたちが、彼のインテリな一面を知らしめるため「彼は悪者じゃない。モスクワ大卒のエリートだ!」と、こぞってSNSに投稿した。しかしこれは本当なのだろうか。ザンギエフは名門モスクワ大学の卒業生?

読書
メガネをかけ、読書をたしなむザンギエフ。

これもストII時代にさかのぼり設定集を読みあさったが、それを裏付ける記述は見つからない。見落としがあるかもしれないと、SNSにモスクワ大卒と投稿している方々に情報元の聞き取り調査を行ったが、みな「ネットで見た」「友人から聞いた」というものであり、確かなソースに行き着くことはできなかった。ネットで検索すると、たしかにそれらしい記事は出てくるのだが、そのどれもが公式なものではなく、複数人が共同でWebサイトを構築していくwikiと呼ばれるページのみだ。ピク○ブ百科事典ア○ヲタWikiニ○ニコ大百科、もそろってモスクワ大卒としている。

ではいったいこの話の出どころはなんなのか。…実は、……実は、これには心当たりがある。それは当ブログの前身、ストリートファイターファンサイト『レッドサイクロン』公開にまでさかのぼる。おそらく2000年あたりであろう。このとき真っ先にザンギエフを紹介したのだが、同時に「大統領ゴロバチョフとは大学の先輩後輩の仲である」との記事も書き、モデルとなったゴルバチョフ氏の経歴である「モスクワ大卒」も併記したのだ。私はあくまでも「ゴロバチョフ氏がゴルバチョフ氏と同様モスクワ大卒であればザンギエフも必然的にそうなる」と示しただけである。決して「ザンギエフはモスクワ大卒」としたわけではない。

先パイ後ハイ
当時の記事は再編集してこちらに掲載。

当時はネタかぶりのチェックのため、記事をUPするときは同様の記事がないかネット検索していたが、ザンギエフをモスクワ大卒とするところはなかった。それどころかザンギエフ=インテリという図式すら確立していなかったと記憶している。大統領と先輩後輩の間柄という設定は以前からあったが、一歩踏み込み「…ということはザンギは意外にも大卒」としたのは当サイトが初ではないか。

時は流れ2016年『ストリートファイターV』公式サイト“シャドルー格闘家研究所”にてゴロバチョフが紹介された。そこではふたりが通った大学は“有名大学”とされ、モスクワ大学とは明記されなかった。考えてみればストリートファイターのようなフィクション作品で、実在の大学の名を出すのは控えられるべきことだろう。

結論:公式設定ではない。当サイトの考察記事に尾ひれがついたもの?



あれ?誤情報の元はココ!?
 
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ウワサの真相2

 
1987年の登場から長きに渡り愛されている『ストリートファイター』シリーズ。その歴史ゆえ、誤った認識で広まったものや、真偽が怪しいエピソードもある。今回のコラムでも、それらファンの間で語られるウワサについて検証したい。

サガットは虎によって片目を失った

隻眼のムエタイ帝王サガット。初代ストリートファイターにおいて、彼が片目を失ったのは「虎に襲われたから」という話。一般的に知られるサガットが隻眼になった理由は「ダンの父親との試合」であろう。しかしストリートファイター初期において「虎に襲われた」という説も根強く残っており、目にした方もいるかもしれない。ネット検索すると複数の掲示板がヒットし、以下のような設定の移り変わりも書き込まれている。

サガットの目
某板に寄せられた書き込み。
サガットの片目の理由の変遷だ。


これによると…
・ストI…人食い虎
・ストII…不良とのケンカ
・ストZERO…帝王ヌアカンとの試合
・ストIV…ダンの父(火引強)
ということらしい。

まずかわりやすい『ストII』の設定から確かめてみよう。新声社『波動拳の謎』によると「子供のころのケンカというのが通説だがムエタイの試合が失明の決定打となった」とある。このときはまだ相手選手の名前は不明だが『ストZERO』でダンの登場に伴いその相手がダンの父・火引強であることが明らかとなる。ちなみに少年であったサガットが当時のムエタイ帝王ヌアカンとの試合で負傷したのは片目ではなく左手の拳である。

ヌアカンのわき腹
なぜかヌアカンまで犯人扱い。
しかし少年に脇腹殴られ続けたら大人でも泣く。


さて、問題の初代ストリートファイターでの虎であるが、これも裏づけとなるような資料が見当たらない。ストV公式サイト“シャドルー格闘家研究所”で初代ストリートファイターのパンフレットが公開されたが、このときすでに「不良につぶされた」とされており、虎のトの字も出てこない。やはりデマと考えていいだろう。

サガットの目2

まとめるとこのようになる。
・ストI…不良とのケンカ
・ストII…不良とのケンカと言われているが、決定的になったのはムエタイの試合
・ストZERO以降…そのムエタイの試合の相手はダンの父(火引強)

結論:公式設定ではない。

虎が片目奪った憎むべき存在なら技名にしないだろう。ガイルが自分の技に「納豆キック」と名づけるようなものだ。

リュウの師匠には娘がいる

リュウの師匠・剛拳には娘がいるという話。剛拳はストII時代からリュウやケンの師匠として語られ、ストIVにおいてはプレーヤーキャラクターとして登場した。娘がいるという話はまったく聞かないが、ネット上では「リュウの師匠の娘を見た」という情報がたしかに存在する。これはいったいどういうわけなのか。

これはおそらく『映画ストリートファイターIIメモリアル公式ファンブック』が噂の出どころだと思われる。同書にはリュウが師匠のもとを離れ、ひとり修行に打ち込む姿が描かれているのだが、師匠には娘がおり、リュウとの別れのシーンでは「行かないで!みんなで暮らしたい!」と泣きじゃくっている。ついにはあとを追い、修行中のリュウのところへ押しかけて来るのだ。

師匠の娘3
リュウを想い、追ってきた師匠の娘。
広い山中から彼を探し出すのも余裕ッチ!


このあとお嬢さんは突如現れた熊に襲われるが、リュウが咄嗟に気の塊を放出しこれを撃退。これ波動拳の誕生エピソードとなっている。でもあれっ?波動拳はリュウが自ら編み出したものなのだろうか?師匠から伝授されたのではないのか。それもそのはず、このエピソードには「独自に構成したものです」との但し書きがされている。娘の設定も含め、公式なものではなかったのだ。

さて噂の出どころも判明し安心していたところに、こんな書き込みも発見された。

師匠の娘2
初代ストリートファイターに師匠の娘!?

先ほどの書籍はストIIのアニメ映画(1994年)に合わせて発売されたものだが、それよりずっと前、初代ストリートファイター(1987年)に師匠の娘が登場していたらしい。初代ストリートファイターといえば、まだ剛拳の存在すらなかった時代。師匠の娘が登場するなんて、そんなことがあるだろうか。SNSで情報収集していると、新声社のゲーメストに初代ストリートファイターの紹介漫画が載っていたとの話を複数の方からいただいた。それには確かにリュウとケンの師匠の娘が…!

師匠の娘1
師匠“無頼”の墓を参り、旅立つリュウ。
しかし娘はその身を案じ、止めようとする。


いた!たしかにいた!初代ストリートファイターに師匠の娘はたしかに存在した。掲載されているのは月刊ゲーメスト1987年10月号(ナンバー13)、「転清」こと木榑孝氏によるものだ。(情報:michael氏より)

師匠に娘がいたのなら、続編にも登場させてあげればよかったのに…と思うところであるが、のちに氏は「カプコンの許可なくゲリラ的に掲載されたもの」と当時を振り返っている。あれはオフィシャルな物語ではなかったのだ…。

結論:公式設定ではない。が、非公式には存在しリュウに想いを寄せている。

師匠の娘4
彼女が気を失っている間にそっと立ち去るリュウ。

恋を捨て、リュウの修行は続く!道着はあげちゃったから裸で!!
 
プロフィール

りょう

Author:りょう
ストリートファイターの投げキャラ好きでパッド派。
ザンギエフやサンダー・ホークで十字キーをぐるぐる回します。



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